そのデザインは本当に「常識」か?

皆さんは立ち食い蕎麦屋に入ったことはありますでしょうか?店の中の様子を思い出していただきたいのですが、ほとんどの蕎麦屋さんは詳しい商品情報を店内に掲示していません。「たぬきそば」「きつねそば」等々、商品名称の書かれた札が壁に並ぶだけです。聞いた話ではイタリアのピザ屋さんも日本の蕎麦屋さん同様に「MARINARA(船乗り)」「BUFFALATA(水牛)」といった初見には意味不明な商品名称が並んでいるだけだそうです。

デザインにおいては「誰もが知っていることは説明しなくても良い」という暗黙の了解があります。省略できる説明は省略する事で情報量を減らし、美観・機能性・操作性を兼ね備える事ができます。WindowsやMacのアプリの操作作法が皆似ているのも、似せておけば(UIデザインガイドラインに従っておけば)説明を省略できるという考え方によります。

しかしながら、気をつけなければならない事がひとつあります。「デザイナーの常識とユーザーの常識は異なる」という点です。

たとえば、私事ですが、以前にお蕎麦屋さんで「あられそば」を注文したら青柳の貝柱ではなくふやけたあられ餅の載った蕎麦が出てきて驚いた事があります。店側と私とであられそばについての常識が異なっていたわけです。スマホアプリや家電製品も同じです。デザイナーの常識とユーザーの常識が異なることに気づかないままデザインしてしまうと、とんでもなく使いづらい製品が出来上がることになります。

このような失敗を防ぐための最良の方法が「ユーザーテスト」です。製品企画時に決めた想定対象顧客に協力してもらえれば最良ですが、身近にいる友達や会社の同僚に10分程度試作品を操作してもらい意見を聞くだけでもいいでしょう。

デザイナーの常識とユーザーの常識は異なります。己の常識を過信せず、常にユーザーを中心に置いて考える心構えを持ってデザインに望みたいものです。 

UX Yokohama

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